王羲之から空海へ、そして私たちへ

前回の最後で、「次回に文鳥のお迎え編を書く」と約束したな、あれは嘘だ。

こんにちは、むーすです。
文鳥の話をしたい気持ちは山々なのですが、それよりももっとホットなネタができたので、
そちらから先にお伝えしたいと思います。

日本史にも登場する書道家

4月12日(火)~5月22日(日)の期間中、大阪市立美術館で書道の展示会がありました。
その名も「王羲之から空海へ―日中の名筆 漢字とかなの競演」です。
書聖と呼ばれる中国の王羲之、「初唐の三大家」(顔真卿を加えると「唐の四大家」とも呼ばれる)である欧陽詢、虞世南、褚遂良の書や、
日本の「三筆」である空海、嵯峨天皇、橘逸勢、「三蹟」と呼ばれる小野道風、藤原佐理、藤原行成をはじめとする、
日中の書道の大家が揃った展示会でした。

中学校や高校で日本史を習った方は「三筆」と「三蹟」は聞き覚えがあるのではないでしょうか?
この展示会に展示されていた空海が最澄に当てた『風信帖』は、日本史の教科書にも載っているものです。
書道に親しみのない方でも、「教科書に載ってた資料の現物が目の前にある!」と楽しみながら見られる展示会だったのではないかと思います。

書道の神、王羲之

この展示会に来たならば、絶対に見て帰らなくてはいけないものがあります。
それが王羲之の作品です。
と言っても、王羲之の作品として現代に残っているものに、現物は一切ありません。
私達が見ることができるものは、別の誰かが王羲之の書を模写したものなんです。
本物は太宗皇帝の墓に副葬されました。
盗掘にあったりしていなければ、いつか掘り起こされて世に出てくる日が来るのではないかと、
ロマンを感じます。

さて、これだけ言うんだから私自身王羲之の書は目に焼き付けて帰るぞ!と
意気揚々と出かけたのですが、私が行ったのが展示会最終日の午後だったからか、
それはもうすごい行列ができていました。
なんでも、王羲之を展示ケースで間近に見るための整列だそうで、
最前列で見られなくてもいいなら待たなくてもいいけれど、
近くでは見れませんよということでした。
順番待ちの人々を収めるために会場の内の一室がそれ用に準備されており、
その中に大行列を作る人々。
一瞬「うわあ・・・。」と思ってしまったのですが、ここまできて引き下がるわけにもいきません。
というか、これを間近に見ないことには帰れない。
考えた末、別の展示室を見て回ってから並ぶことにしました。
一通り見て回ってきたあとでも変わらぬ行列。
でもあとはここに並ぶだけ。
結局20分程待って、ようやくお目にかかることができました。

生で見る王羲之は圧巻でした!
語彙力がないし、書道を長年やってきたわりに大した知識がないので、
うまく感想が言えません。
ただ言えるのは、とにかくすごい!ということ。
あの王羲之が目の前にある。
それだけで大興奮です。
何百年という時を経て、それでも色褪せずに黒々と輝く書たち。
まさに、「時代を超えてきた」という感じです。
生の拓本(石に彫った字を紙に写したもの)も初めて見て、これにも感動。
ああ、並んだ買いがあった。
こころからそう思えた瞬間でした。

カジュアルに書を楽しんだっていいじゃない

どうも書道というと、堅苦しいと思われる方が多いような印象を受けます。
他の人はどうか知らないけど、私はきれいな字が好きなだけです。
きれいな字が書けるようになりたいだけです。
ただ、それだけです。何も難しく考えることはないんです。

だから、絵画の展覧会を見に行くような感覚で、書道の展示会を見に行ってもいいじゃない、
と思います。

すごいきれい!字が細かい!迫力ある!うーん、なんかちょっと微妙かも?
見たまま、思うまま、自由な感想を持てばいいんです。
見た目が真っ黒だから重苦しく見えるかもしれませんが、
全然そんなことはありません。
ちょっとでも興味がある方は、ぜひ見に行って欲しいと思います。
きっと、いえ、絶対に楽しめます。