万年筆のインクが裏抜けをするのは「紙を削っている」から?素人が気付かない、万年筆を調整してもらう必要性について

万年筆が紙を削っている、なんて考えもしませんでした。

先日行われましたブラウニー手帳ファンミーティング。
話題の中心は使い方とともに、
今年から万年筆に合わせて改良した紙について。
概ねご好評を頂いたのですが、
その中で興味深いやり取りがありました。

手書きのシーンの特別感化と、万年筆の相性。

私自身、てちょけんなどのオフ会を通して
「手書きの特別感と、その為に使うツールの重要性」
というものを感じるようになっています。
数年前までは、万年筆なんてメンテが面倒だし
指が汚れるし、実用品ではなく嗜好品だと思っていました。

しかし、これだけデジタルツールが浸透していく中で
手書きをするというシーンは非常に減ってきています。
そんな中で、あえて手書きをするという行為は
キーボードを叩いたり画面をスワイプするのとは
異なる触感を指先に与えることができます。
せっかくわざわざ手書きをするのであれば、
心地よい感覚で行いたいと思った時に、
万年筆のすらすらペン先が進む感覚は非常に心地よいと感じました。

今年は特にブラウニー手帳が対応したこともあり
日頃のメモから一筆書く時まで、書くシーンの半分以上は万年筆を使うようにしています。

自分で頻繁に使うようになると、裏抜けも急に気になるようになってきました。
万年筆とインクの組み合わせによって
抜けやすい、抜けにくいものがあるので、
自分なりの少ないサンプルを元に
「この紙では、この万年筆でこのインクが抜ける」という話をしたところ、
私の万年筆の師匠でもあるユーザーのLさんから
意外な一言が出てきました。

「それって、紙を削ってるんじゃないですか?」

万年筆のペン先が紙を削るってどういうこと?

その時私が使っていたのはLAMY SafariのF、2013限定色のNEONで、
いわゆる「鉄ペン」というやつですが、恐らくamazonで購入したはずです。
確かにカリカリした書き味をしていますが、
私自身にとって初めて購入した万年筆だったので
「こんなものかな?」と思いながら使ったり使わなかったり、
最近になるまでペン立ての肥やしになっていたような感じです。

先程の一言に対して、
万年筆のヘビーユーザーさんからは「あるある」という声。
私はなんのことかよくわからないと伝えると、
その瞬間から、ファンミーティング会場が調整現場に早変わり。
「このくらいの太さの文字を書きたい」
という話をすると、
レンズと機材を取り出して手をインクで真っ青にしながら調整してくれました。

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調整が終わった万年筆で文字を書いてみるとびっくり!
驚くほど滑らかに書け、文字も細くなっています。
全く違う商品を手に入れたような感動がありました。
万年筆も道具、メンテナンスしてなんぼということですね。
それ以来、このSafariは1軍入り、
常にブラウニー手帳と一緒に持ち歩いています。

特に高級な万年筆を買うときは、実店舗がオススメ。

ファンミーティングの後に興味を持った私は、
会社に転がっていた印刷チェック用のレンズを使ってペン先を覗いてみました。

このペン先は調整してもらった後ですが、とても滑らかになっています。
手元にある他の万年筆も見てみましたが、
より先端の角度がキツイものもあり、
「なるほど、この角度の鉄が紙と触れると削りそうだな」というのがよくわかりましたし、
これは使っていく内に確かに削れたり癖づいたりするものだろうなと感じられます。

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こちらは未調整の別のLAMYですが、若干角度がキツイですよね。
恐らく以前の状態のNEONはもっとキツかったのかなと。

今回私が幸運だったのは、非常に詳しい友人が
善意で調整をしてくれたということで、
「ちょっと万年筆を使ってみようかな」という方にはなかなか無いシチュエーションだと思います。
まして私のようにド素人でミーハー心から万年筆を買おうと思い、
安いからとネットショップで購入すると
(特に輸入品は)当たり外れがあり、本当の万年筆の魅力に気づくことが難しいのだなとも思います。

数千円から数万円、もっともっと高級なものもある万年筆の世界。
ハマりだすとキリがないのですが、
素人でもある程度「これが万年筆だな」と感じられる
書き味を知ってからでないと良い悪いの基準も作れないと思います。
そういった意味で、お近くに文具専門店がある方は
ぜひ足を運んで、店員さんとお話をしながら
試し書きをさせてもらうことをお勧めします。
きっとその違いに気づくと購入したくもなるでしょうし、
きちんと店員さんがいる店なら、購入した後のアフターケアも安心です。
使っていくうちに立ち寄って調整してもらえるのであれば、
専門店で買った方が安心して、長く楽しめるのではないでしょうか。

というわけで、鳥取で開催されていました
西日本の文房具専門店の会「オエステ会」の会合から帰ってきました。
こんなに志のある熱い経営者、経営幹部の集まる会はなかなかないですし、
安心して商品も購入できます。
各地の新店舗の情報も入りますので、ぜひご覧くださいませ。

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そして、高級筆記具を手に入れたなら
持ち運びにオススメなのがdünn one pencover。
どんな万年筆に対応しているかはこちらにまとまっています。

dünn one pencoverをいろいろな万年筆に入れてみました。ペンカバー(シース)としての使い勝手をトライアル。

万年筆を使い始めると、いつでもどこでも持ち歩きたくなるもの。
ペンケースや内ポケットで隣のペンとカチカチして傷が付くことを防いでくれます。
楽しい万年筆ライフのお供にぜひ、です。

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株式会社ロンド工房 クリエイティブディレクター。商品の企画、製造、営業を行っている。てちょけん会長、ステラボP、K3事務局長など。