少なくとも印刷業の分野では、機械が人間に取って代わるのに10年では足りないと思う

業界そのものがなくなるか否か、という話とは別問題ですよ。

今日は新規パートナー探しにとある工場見学へ。

前々から、HPのIndigoで外注を受けてくれる業者を探していたんです。

Indigoに関してはいろいろ調べていくうちに言いたいことが増えたので明日書きます。

単純に、綺麗で丈夫なカラー印刷を比較的小ロットから安価にできる、という

解釈をしていただければOKです。

幸い非常に良い会社様が見つかったので、

安心していろいろお任せしたいなと思っているところです。

それにしても、印刷というのはなんと複雑なことか…。

見学をしながら感じることも多かったです。

印刷業に帰ってきて5年、それも機械といえばPOD触ってたくらいで、

特に昨年からは印刷の事業にはほとんどタッチしていませんが、

それでも思うことがあったのでまとめてみます。

印刷物って複雑で組み合わせが無限大

大きさ、カラー、紙質、そしてデザインの内容、

それらを組み合わせていくだけで何万パターンではきかない、

無限パターンのオーダーが生まれてきます。

そしてそのオーダーの一つ一つに対して、機械がちゃんと動いてくれるかは未知数。

メーカーは良いことしか言いませんし、

メーカー推奨サンプルはとても美しく見えるように作られていますが

「機械のパフォーマンスを出す」ための仕事は残念ながらありません。

印刷機械の運用には人手も場所も、とにかくコストがかかる

弊社のPOD機ですら、搬入時の手間以上に、

その後の運用における人的コストの大きさに

購入前とのイメージギャップが大きくて驚いています。

とある色が荒れたり、色が合わなかったり、

表裏の見当がずれたり、そんなトラブルは日常茶飯事です。

ボタンを押したらぽんっと出力、なんて夢のまた夢…。

これはどの機械でもそうではないでしょうか?

恐らくどの会社でも日々苦心しながら、業務を回しています。

そしてその前段階としてのDTP工程があり、

その前にデザインまで入ってくる…!

効率化はできたとしても、自動化なんてとてもとても。

私の僅かな経験でここ5年の業界の進化を見ている限りでは

「実用的な」機械の側でのイノベーションらしいイノベーションはほとんど起きていません。

受発注や機械の運用、その組み合わせによる

各社の努力やイノベーションには凄まじい物がありますが、

それが即「人出を減らせる」ものにはなかなか至っていません。

ネット通販印刷会社の裏にも、たくさんの従業員がいる

営業はネットで削減できたとしても、

受発注部門の裏で処理をする人間は必要。

また、入稿されたデータを面付けしているのだってきっと人間。

どう考えても、現場の仕事は人出で処理するしかないんです。

詳細な人員配置はわかりませんが、

印刷通販業界最大手のプリントパックで2016年時点の社員数803名!

印刷オペレーターだけでも相当数だろうし、

受発注システムを内製するならそこにも人員が必要。

スケールを追わないと利益が出ないんだなと感じます。

餅は餅屋に任せて、本当に自分たちがすべきことに集中する

オセロで人間に勝ったりと、

AI(人工知能)が世の中の仕事を奪っていくのでは?という議論が活発になっていますが

特に印刷業界においては10年スパンくらいでは変えられない

複雑な世界が組み上がっているなというのを感じます。

かといって、そこの雇用がこれからも安泰かというとそうではなくて

2015年には5兆6千億ある業界の市場規模が

2022年には4億円になるという試算も出ているくらい、

たた情報を伝えるための紙の印刷物という需要は減り続けていきます。

はっきり言ってマトモに技術を習得して、

人員を育成して、といったことを行っていては間に合わない変化が起きています。

自社のノウハウや強みをよく理解した上で、

そこに特化し、足りない部分はパートナーに依頼する。

そういった割り切りは必要です。

幸い、今の私はメーカーとして文具や雑貨を作って販売をするという仕事を

メインにさせていただいているお陰で、

逆に印刷物のことが(ほんとうに多少ですが)わかるというのは

何も知識がないことと比べるとメリットにはなっています。

印刷業+クリエイター、というコラボも良く業界内では聞く話ですが、

弊社の出来る仕事はきっとその先を行けることで、

自分のいいなと思ったアーティスト、クリエイターの作品を

世の中に一般商品として流通させる「フック」を付けることだと思っています。

まだまだ道半ばですが、

そういった多くのフックを掛けられるよう、

役割分担をはっきりしながらできることに特化していきます。

最初の写真に映っている軽オフ機も残り1台、

工場に音がない日が増えるのは最初は寂しかったのですが、

新たに活気づくこともあり、日々変化を楽しんでいます。